「春やね。桜が咲いてるねん」
「なんやの、いきなり。いつもの前振りはせんでええのん」
「そやったな、ええとそしたら、このコーナーはベース担当のマツダゆうのんが最近のおすすめ盤やら何やらを紹介するコーナーですねん、いうあれやな、放っといたりや。誰もこんなん読んでへんで、正味の話が」
「言うないな、一生懸命やってはるねんで。まあ確かにな、いっつもようわっけわからん事書いとるしな」
「そうやな。まあええわ、今回はジーザス・アンド・メリーチェインやて。これ知っとるか、いうてな」
「んなん誰でも知っとるがな。しっかし古いなあ君。全然最近ちゃうで。あれやろ、『ピストルズ以来の衝撃』いうてな、帯に書いてあったやん。大袈裟な」
「あったな。『ラジオは鳴った。一度だけ』いうやつな。あんなんウソやで」
「いやいやいや、でもな、ほんまにあんな感じやったかもしれんな、なんてワシは思とったけどな」
「さよか。ほな言うけど君な、ピストルズ知ってまんのかいな」
「いやな、正味の話、知らへんかったけどな。当時はそんなん聴いてへん。知らんちゅうねん。やっぱな、当時いうたらあれや、ペイル・ファウンテンズとかな、スミスとかな、ネオアコいうてな、そんな時代やったしな。ピストルズいうてもあれやで、確かにそんなん好っきや、言うとるやつ何人かおったけどな、どっちか言うたらあれやで、そないな事言うてるやつのが胡散臭い感じあったねんな。いうかな、終わってたやろ。その頃はもうとっくにな。そない言うんやったらPILでも聴いたれちゅうねん、なんて思てな。どないせゆうねん、ほんまに」
「まあまあまあ。なるほどな。そうかもしれんな。でもあれやで、ジーザスってな、今聴いたらけっこうきっついで。いかにも単純やんか。使てるコードなんてな、全部一緒やで」
「まあ確かにな、そやねん。でもな、言うたら今、春やんか。『サイコ・キャンディ』いうかな、そういう感じが合うねん」
「あああれやな、ファースト・アルバムやな。やっぱあれしかないねん言う人、多いみたいやね」
「いやワシはセカンドも好きやで。でもな、やっぱな、あれは特別やってんな」
「そういえばあの頃はボビー・ギレスピーがドラムやってんな」
「そやそや。今やもうな、プライマル・スクリームいうて一種のカリスマやねんね。しかしな、ボビーが一番ボビーやったのがあの頃やで。言うても誰も聞かへんけどな」
「1曲目が『ジャスト・ライク・ハニー』いうてな」
「そうそう。あれは綺麗な曲やったな。完璧な失恋ソングやで」
「ほうほう、そないな見方もあるねんな。マドンナが『ジャスト・ライク・ロマンス』歌とるのもあったしな」
「おおそうそう、あれは『ジャスト・ライク・ハニー』のアンサーソングやで。いやマジやって。なんかな、空虚な感じが同じやねん」
「80年代は何もなかった、とか言うやつおったな」
「いやいやいやそれちゃうねんて。マドンナの『エロティカ』いうたら90年代やで。でもな、ワシ言うけどな、80年代いうたらジーザス&メリーチェインとルースターズがおったがな!いう感じやねん」
「ほう、ルースターズか。ようそっち行くな君。無理矢理やで。しかしなるほどな。『ガールフレンド』いうのも確かにジャスト・ライク・ロマンスいう感じやったな」
「いや『ガールフレンド』のが先やって。あれはな、ジョナサン・リッチマンやろ。ちょっとちゃうんやないかな。でも言うてたね、大江慎也が。「新しい時代の『ボーン・トゥ・ルーズ』」ちゅてな」
「あったな。いや結局おんなじ事やって。で、ジーザスはやっぱな、大きかったけどなあれは」
「そうやな。そんでな、マイ・ブラッディ・バレンタインとかな、C86いうてるやつとかな、皆そないな感じでやってたんちゃうんか」
「まあ確かにな。そう言えばコーネリアスも歌ってたの、あったしな」
「おう、あったあった。『97年3月にー』いうあれやろ。そしたら『ジャスト・ライク・ハニーという歌をー』いうてな。あれも一種の失恋ソングやね」
「大雑把やな君は。でもな、Louの『苦い約束』いう歌あるやんか。あれも『ジャスト・ライク・ハニー』やで」
「ちゃうちゃう、君知らんな、あれはエブリシング・バット・ザ・ガールの『ラブ・イズ・ストレンジ』やって」
「いや確かにな、そんなんもあるけどな、でもあれはどっちかいうたら『ジャスト・ライク・ハニー』やって。なんかな、最近コード変えて歌っててん。でな、A→Dのとこがな、『ジャストライクハニー♪』いうとこのメロディが合うねん。バッチリいうかな、そのまんまやで」
「そうなんや。そら聴いとかなあかんな。次のライブいつやったかな」
「3月31日、青い部屋やがな。早川義夫も出るねんて」
「それはごっつ楽しみやな。ってなんや、結局宣伝かい。どうでもええけど、君の関西弁、なんか変やで」
「放っといたりや」
home
第1回:The Flaming Lips ”Zaireeka” の巻(2000.4)
第2回:Dolly Mixture ”Demonstration Tapes”
の巻(2000.5)
第3回:Various Artists“Caroline Now!”の巻(2000.8)
第4回:長谷川和彦監督作品「太陽を盗んだ男」
の巻(2000.12)
第5回:2000年度ベスト・アルバムの巻(2001.1)
第6回:Lou ”Search & Love” の巻(2001.3)
第7回:Honzi ”Two” の巻(2001.5)
第8回:「水不足問題について考える」 の巻(2001.7)
第9回:「グラスゴーの彼方に」 の巻(2001.10)
第10回:「2001年の収穫自慢」 の巻(2002.1)
|
(蛇足)
Jesus& Mary Chain "Psycho Candy"
85年作。初めて私がジーザス&メリーチェインを聴いたのは、当時TBSテレビでやっていた「ポッパーズMTV」というビデオクリップを紹介する深夜番組での事であった。司会のピーター・バラカンは、最近このグループがイギリスで大きく脚光を浴びている事などを簡単に説明した後、「これからこのグループの曲を放送しますが、決してテレビが壊れているわけではありません」というようなコメントをした。そして「キュイイイイイ」という耳障りなフィードバック・ノイズと共に「ネバー・アンダースタンド」と「ジャスト・ライク・ハニー」の2曲が続けて放映されたのだった。率直に言って、私は衝撃を受けました。次の日、早速アルバムを買いに行った。
で、「サム・キャンディ・トーキング」は、そのアルバムの2年後くらいに出たシングルです。アルバムには未収録の新曲だったわけですが、今出ているCDには入ってるみたいですね。なかなか好きな曲です。しかしこの後に発表されたセカンドアルバムは、例のフィードバック音がすっかり陰をひそめ、しっかりとクリアーな音であった。っていうか、私の印象では、これはある種の出直しというか、決意表明みたいなものだったような気がする。誰がどう見てもあのファースト・アルバムには先の展望が見えないというか、もしくはあれでやりつづけるかのどちらかしかなかったような気がしたものです。で、そのセカンド・アルバムが出た頃、初めて来日したりして、私は見に行ったのだけど、でもなんか、全然元気がなかったんだなあ。そういう意味で、「サイコキャンディ」というアルバムは、なんだか切ない感じがあります。個人的には、高校時代の思い出ともやや被ってしまう。
ちなみにジーザス&メリーチェインもまた、グラスゴー出身のグループです。「サイコ・キャンディ」の日本盤ライナー(森田敏文氏による)では「僕たちはどん底にいたかもしれない。でも星を見上げていたんだ」とジム・リードは発言している。 どうでもいいけど「キャンディ・キャンディ」もスコットランドのお話なのだそうですね(笑)。
Louのライブスケジュールについては、トップページにて(笑)。
|