松田の「これ知っとるか?」


第8回:「水不足問題について考える」の巻

2001.7


みなさん、こんばんは。ベース担当の松田です。このコーナーは、私がおすすめする音盤等を紹介するコーナーです。いつもはワン・テーマでダ〜と書き綴る趣向なのですが、最近はあまり新譜を買っていないし、まあ無理に更新する必要もないかな、などと呑気に過ごしておりました。するといつのまにか梅雨も明けてるというではないか。どうりで暑いわけだ。本当に暑い。暑くて死にそうだ。ここのところ雨も少ないみたいだし、ここまで暑い日が続くと今度は水不足が心配になってきますよね。というわけで今回は、水不足がもたらす深刻な社会問題について考えてみたい、なんて思う。というのはもちろん嘘で(笑)、今回は最近購入したものを小ネタ的に集めて、やや支離滅裂気味に参ります。蛇足もまとめもなし。いやもう、ほんとに暑いですからねえ。

"folktronic" momus






先に輸入盤で買ってしまったのだが、とりあえず国内盤を買い直して、どこまで的確なものであるかはわからないのだけど、とりあえず訳詩を読みながら聴くモー娘。の新作。それにしても冒頭3曲での飛ばし方が鮮やかです。後半になって聴ける、いわゆる「モーマス節」は、いつもよりもやや浅い感じがしてしまうのだが、もっと聴きこまなくてはね。しかし、この人のセンスって毎度ながらほんとに面白いなあと思う。スターパインズ・カフェでのワンマンももうすぐです。きっと何か面白い事をやってくれるであろう。ちなみに私は整理番号が1番の前売り券を握っております。とても楽しみ。尚、この国内盤には特典として「替え歌コンテスト」入賞作品集と思われる"folktronia"というCDシングルが付いています。



"cut" the slits




このアルバムにそれほど思い入れがあったわけではなかったのですが、このリマスター盤にはマーヴィン・ゲイの「悲しいうわさ」のカバーが追加収録されているというので、それはちょっと聴いてみたいぞ、なんて思って再度購入しました。これがなかなかカッコ良い。なんだか「まちがい」という曲のアレンジに少し似ているような気がする(笑)。さすがリマスターというだけあって全般的にシャキっと立った音になっています。実はすごく久しぶりに聴いたアルバムではあるのですが、なんて自由奔放な音楽なのだろう、と思った。内ジャケ写真も必見(笑)。


"dubbing you crazy" the mad professor










「ダブ・ミー・クレイジー」シリーズからのベスト集だそうです。こういうのがpoptonesから出るというのは、なんだか意外な気がしますが、例えばこれの14曲目のエジプシャン・レゲエなんかを聴くと、一見接点が無さそうなこの両者の「繋がり」の一端を垣間見るような気がして、面白い。アリーワといえばラヴァーズ・ロックのコンピを持ってるくらいで、実のところそれ以上の事はよく知らなかった私ですが、これを聴いていると、なるほどマッシブ・アタックやプライマル・スクリームだって彼に頼むわけだ、なんて思わず納得してしまう。徹底的にクールで、どこか壊れてる。温度の微調整ができないエアコンでひんやりしてしまった部屋で聴いていると、妙に馴染む音です。余談ですが話によるとpoptones絡みのイベントで披露されるアラン・マッギーのDJぶりは、いかにも初心者な手つきでビリー・アイドルとかクラッシュなんかを嬉々としてかけてるそうですけど(笑)、いい話ですね。


"triple echo" birdie








待望の2作目。相変わらず良いなあ、と思える曲が13曲も入っている幸せ。一見地味、なのだけど何回か聴いてみると、そのさりげないセンスの良さみたいなのがじわじわと...なんて事をひつこいほど語ってしまう私ですが、ほんとにお洒落とかそういったような軽薄さとは一線を画す、センスの良い音楽だと思います。他に何も言う事はありません。なんて今日はこのくらいにしとくか(笑)。「ミュージック・マガジン」で大鷹俊一先生に「ヘタクソ」の一言で片付けられたって、別に気にしない。次のシングルは4曲目の”Sidewalk”だそうです。実はこの曲が一番良いなあ、なんて思っていたところだったのだ。ロンドンでは先のpoptones絡みのイベントなんかにも参加したり、キング・オブ・コンヴィニエンスと一緒にツアーを廻ったりしている模様です。日本にも来ないかな。


"poses" rufus wainwright




この人も2作目。3年ぶりの新作。もしかして大変身してしまうのではないか、なんて思っていたのですが、基本的には前作と同じ路線といえるかもしれない。しかしながら前作以上の出来であるのは明らか。クラシックっぽいところとバーバンクっぽいノスタルジックな雰囲気が相変わらず心地良いですが、4、5曲目あたりで見せるややはみ出した感じも捨て難い。非常に独特なスタイルを持った音楽だと思います。6月のヘビー・ローテーション賞は、このアルバムでございました。



"レナウン〜ワンサカ娘" 小林亜星 Commarcial Songs





いろいろな歌手によって歌われたこのCMソングですが、ライナーによると1961年のかまやつひろしが初代のヴァージョンだったそうです(ここには未収録)。シルヴィ・バルタンも歌った事があったそうですが、残念ながらこれも未収録。87年のサンディ&サンセッツあたりだと私もよく覚えているのだが、85年のゼルダのやつは当時それとは全然気がつかなかった。という感じでそれぞれ時代を象徴するアレンジによる10ヴァージョンが収録されています。68年の久美かおりという人のがナゲッツも真っ青なガレージ・サウンドになっていてビックリだ。ライナーも興味深い内容で、できれば歴代ヴァージョンを完全収録して欲しかったです。


"live at life" ian macnabb





おお、こんなライブ盤が出ていた。3年ほど前だったか、私はバーミンガムのロニースコッツというクラブでこの人のライブを観たことがあるのですが(自慢)、観客がユニゾンで大合唱する光景に鳥肌が立った覚えがあります。その時はキーボードのサポートが入ったりしていたのですが、ここでは完全にギター1本の弾き語りで74分間を突っ走っています。熱い。アイシクル・ワークス時代の曲を含め、選曲はベスト的な内容となっています。日本ではどうも過去の人、みたいな印象があるようですが、この人はソロになってからのアルバムの方が素晴らしいと思います。クレイジーホースがニール・ヤング以外とやったのはこの人だけなんだぜ。


"4" バンバンバザール










レコード屋さんでかかっているのを聴いて「今かかってるの、何ですか?」なんて聞いてみた。するとレジのお姉さんはこのジャケットを見せてくれたのだった。そのジャケットを見て迷わず購入する私も私だ。名前だけは聞いた事があるのだけど、不覚ながらどんな音を出している人達なのかは全く知らないグループであった。こんな出鱈目な買い方は滅多にしないのですが、しかしそういう出会い方にハズレが少なかったのもまた事実でして。帯には「これぞ新世紀スウィングだあ!」なんて書いてありますが、なるほどゴキゲンな音で気に入りました。昔のかっこいいレコードみたいな音がする。5曲目なんか、まるでジョージー・フェイムみたいじゃないか。粋ですね。これは4枚目のアルバムとのことで、わりとキャリアがある人たちのようです。実はこれ、私はてっきり新譜なのかと思って買ってしまったのですが、2年前に出てた作品だそうだ。しかしこういう音楽は古くならないものなのですね。ほか、宍戸留美が1曲ヴォーカルで参加していて「へえ」と思った。妙に和んでしまいます。



"discovery" daft punk











メンバーのコスプレ(?)とか、松本零士を起用等のビジュアル面には全く興味が無かったのですが、この春にあちこちでかかりまくっていて耳タコ状態であった「ワン・モア・タイム」は、割と好きな曲だなあ、なんて思っておりました。妙に後を引くものがあるのだ。そのレトロっぽいディスコなテイストは、アルバムでも存分に堪能できるのですが、これって果して一種の冗談というか悪ふざけなのだろうか?だとしたらつまんねえなあと思うのだが、それは考え過ぎだろうか。関係ないですが小沢健二の「ライフ」にも、それに近い感覚があったのを思い出す。時代は周る、などとここで言うつもりは毛頭ないですが、例えば最近のAIRとかPhoenixの"If you ever feel better"あたりにも同質のテイストを感じさせるものがあって、今のフランスって一体どうなっているんだろう?なんて思いを巡らせております。これらって、私が思うにマジでやってるわけですよね、たぶん。80'sリバイバル的な動きは、私にしてみればそれなりに面白いのだが、そこに仕込みみたいなのが見えてしまうと、一気に幻滅してしまう。そんな紙一重の面白さがこのアルバムにはあるような気がします。


"funny cry happy gift" tiffany anders


この人についてはよく知らなかったのですが、P.J.ハーヴェイによるプロデュース&ミックスというのと、なぜかJ.Mascisがドラムで参加しているというので聴いてみた。あまり好みのヴォーカルではなくて、いまいちメロディも書けてない印象があるのですが、"Rid Of Me"ぽいというか、どこかアルビニ的な感触の音になっているのがなかなか興味深いです。




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第1回:The Flaming Lips ”Zaireeka” の巻(2000.4
第2回:Dolly Mixture ”Demonstration Tapes” の巻(2000.5)
第3回:Various Artists“Caroline Now!”の巻(2000.8)
第4回:長谷川和彦監督作品「太陽を盗んだ男」 の巻(2000.12)
第5回:2000年度ベスト・アルバムの巻(2001.1)
第6回:Lou ”Search & Love” の巻(2001.3)

第7回:Honzi ”Two” の巻(2001.5)